最後の中流階級より

私の周りは「持てる者」が多い。持てる者は自らを「持てる者」であると自覚しながらも周りにはそうではないかのように振る舞う。

正直言って

 

嫌いだ。

 

いや、羨ましい。喉から、胃から手が出るほど。

 

 

朝、家から駅まで自転車を立ち漕ぎする時。

昼、電車で香水の強い女性の隣に座る時。

夜、飲み会帰りの酒臭い大声を浴びる時。

 

否応もなく、自らが中流階級かそれ以下の自覚をさせられる。

 

死んだような顔をしたサラリーマンの群れに紛れ、自分だけはそうではないと言い聞かせ、格好つけて本を読んでみる。背伸びをして買ったその本は読み進めるのにすら苦労する。

 

僕の友達は余裕で読めるようなものを、一つの式、一文ずつノロノロと読んでいく。彼に追いつくなんて夢のまた夢だから、せめて話せるくらいに、と。

 

社会に出る前のほんの少しの隙間は、今の私にとっては先のない永遠の谷に感じる。

 

22歳の今

無限に見える時間は無限の可能性を生むと思っている。

無限の可能性は無限のリスクを負う。

無限のリスクは無限の不安を抱える。

 

後2週間で社会人。モラトリアムからの脱却への苦しさと戦う日々になりそうだ。